コーヒーとチェリーパイで追悼したい…

どーも、ロッカリアです。
2025年1月16日、映画監督のデヴィッド・リンチが78歳でこの世を去りました。
そのニュースを聞いた瞬間、私の心には、彼が創り上げた数々の作品と共に、一つの特別な思い出がよみがえりました。
それは、「ツイン・ピークス」
僕の映画、海外ドラマの体験を大きく変えた、人生の一幕です。
「ツイン・ピークス」とWOWOW加入のきっかけに
1990年代、まだ衛星テレビというものが新鮮だった頃、僕は日本で初めて登場した衛星テレビチャンネル「WOWOW」に加入しました。
その理由はただ一つ。
「ツイン・ピークス」が放送されるというニュースを聞いたからです。
デヴィッド・リンチとマーク・フロストが手掛けたこの作品は、「ローラ・パーマーは誰に殺されたのか?」という謎を中心に、奇妙で不可思議なキャラクターたちと、不思議な雰囲気の小さな町を舞台に描かれた作品です。
当時の僕には、このドラマがどれほど特別なものになるのか、まだ想像もついていませんでした。
しかし、「ツイン・ピークス」を観るためにWOWOWに加入したことが、私のエンターテインメント生活における一つの転機となったのです。

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思い出……録画と友人たちとの時間
「ツイン・ピークス」の放送は僕にとって、週に一度のちょっとしたイベントでした。
放送日が近づくと、必ずVHSテープを準備し、放送を録画。
ビデオテープのラベルには、丁寧に日付とエピソード番号を書き込んだのを覚えています。
そして、録画したテープを持ち寄り、友人3人と回し観るという習慣ができました。
僕たちはそれぞれ別々のスケジュールで視聴し、その感想を話し合いました。
「ローラの日記に隠された秘密って何だろう?」
「あのブラック・ロッジのシーン、夢に出てきそうだった!」
「クーパー捜査官がコーヒーを飲む姿が妙に好きだよね」
「チェリーパイって、日本でも売ってるのか?」
と、ドラマの謎や奇妙なシーンについて、喫茶店で語り合う時間は、何より楽しいものでした。
当時は、インターネットもSNSもありませんでしたから、友人たちとの、このやり取りが、情報交換の全てでした。
僕たちの中で、デヴィッド・リンチの作り出す「不気味さ」と「美しさ」は、語るたびに新たな発見があり、作品への愛情をさらに深めるものでした。
リンチ作品が与えた影響
「ツイン・ピークス」をきっかけに、私はデヴィッド・リンチの他の作品、『ブルーベルベット』や『デューン:砂の惑星』、そして『イレイザーヘッド』といった作品にも魅了されていきました。
彼の作品は決して「わかりやすい」ものではありませんが、それだけに「解釈する楽しみ」と「心に染み渡る不安感」があり、観るたびに新たな体験を提供してくれました。
また、「ツイン・ピークス」を通じて仲間と語り合った時間は、作品そのもの以上に貴重な思い出となっています。
デヴィッド・リンチへの感謝
デヴィッド・リンチの訃報は、世界中の映画ファンやミュージシャン、俳優や監督たちにとって、大きな喪失でした。
しかし、彼の作品は永遠です。
「ツイン・ピークス」で彼が僕に見せてくれた「現実と幻想の境界」、そしてその中に潜む不気味な美しさは、これからも僕の心に残り続けるでしょう。
「また25年後に」と語ったローラ・パーマーの言葉が示すように、彼の作品を振り返り、次の世代に伝えていくことが、僕にできる最大の感謝かもしれません。
デヴィッド・リンチに、ありがとう。
そしてどうか安らかに。
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